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異常性愛
第27章 業
ヒザを叩かれ、眼が覚めた。
ルームランプに照らされた運転手が困っている。
『お客さん、着きましたよ。』
『ああ、ごめん。着いた?』
『よく、眠ってましたよ。
いい酒だったんですねぇ。』
『あははぁ、わかるぅ?』
何も知らない運転手に「お前に何が解る!」と食って掛かっても仕方ない。
割と高めの料金を支払い、タクシーを降りた。
見上げると無人の自宅は真っ暗で寂しげだった。
鍵を開け、誰もいない玄関で「ただいま」と言ってみる。
人気の無い自宅で当然返事は無い。
靴を脱いで上着を掛け、キッチンへ向かった。
何も考えずに眠りたかったが、亭主の家で吐いてしまい酔いが足りない。
冷蔵庫にワインを見つけ、ラッパ飲みで空にしたあとソファに転んだ。
暗闇の中で冷蔵庫のモーターがブーンと低く唸っている。