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異常性愛
第28章 媒介
帰り道の景色が違って見える。
前を向ける。
生まれて初めて味わう清清しい気分だった。
玄関のドアが閉まりきる前に晶子を抱きしめた。
腕の中で晶子が小さく呻いた。
『ううぅんっ。』
『あ、あんまりきついのはダメか?』
『まだ、大丈夫よ・・・。』
晶子はアゴを上げ、キスをせがむ。
吸い寄せあうように唇を重ね、しばらく私たちは玄関で唇を吸い合った。
母になる晶子。
父になる私。
どんなに離れようと、消えることの無い新しい絆が、晶子の中に宿っている。
そう思うと、目の前の妻がこれまで以上にかけがえのない存在となり、愛おしさで私の目から涙がこぼれた。
『泣き虫ね。』
『ダメなんだよ、こういうの。』
『ふふっ、あなたの分身よ。
ここに居るわ。』
涙を拭き、晶子にキスした。
私の子を宿してくれた晶子への感謝のキスだった。