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第5章 月への道を

タクヤの退院の日、
タクヤの迎えはユウイチだけだった。

りえはもうなるべくタクヤに近付けないようにした。

二度とあの恐ろしい目にりえを合わせる事は出来ないと
ユウイチは強く思っていたからだ。

りえも納得し、タクヤには気を付けるようにした。
なるべく会わないように…と。

が…

ユウイチはタクヤと親子でタクヤが自立して暮らせるまでは面倒を見なければならない。
りえとは顔を合わせる事にはなってしまう。

ユウイチはりえと暮らす事にした。
事務所のすぐ傍のマンションにした。
セキュリティもしっかりしていて
何かあればすぐに警備員が来れるようになっていたのだった。

タクヤにはりえと暮らすとは言っていなかった。

ユウイチは息子のタクヤよりも
りえが大切で
手放したくは無い存在だったからだ。


りえは、タクヤにあんな目に合わされても
タクヤには優しく接していた。

タクヤを憎みきれずにいるりえだからこそ
ユウイチは惹かれ愛してしまったのだった。