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妄想短編
第6章 天の先の国

この世界には、勇者が召喚される事も、異世界人が強くなり名を残す事も無い。
ここに召喚されるのは、私と同じ最後を送った女性達だった。
何かのスキルを持つ訳でもなく
魔法が使える訳でも無い。
ただ、この世界へ送られる
そして第二の人生を始めるのだ。
コンコン
加奈子が退室した直後、また自室に訪問者が来た。
「どうぞ」
私は髪をとかすのを中断し、ドアを見つめる
扉が開くとそこには、私の大好きな人が顔を覗かせた
「千夏?もう身体は大丈夫かい?」
「えぇ、もうすっかり元気よ」
心配そうに眉毛をハの字にする彼にとびきりの笑顔で答えた
そして彼の後のお姫様にも声をかける
「シェリー、おいで」
私のその言葉を聞いた小さなお姫様は私の元に駆けてくる
「ママ!もうお熱無いの?シェリー心配したのよ?」
私の脚を抱きしめながら泣きそうになる娘の頭を撫でる
「ありがとうシェリー、ママはもう大丈夫よ。さあ、絵本でも読みましょうか」
完

