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NEXT 【完結】
第73章 正式に同棲開始

「美味しそう!」
チーズのいい匂いが瞬く間に辺りに充満して、三人の食欲を呼び覚ます。
「本当に羚汰くんが持ってくるんだね」
他のお客さんに聞こえないように、千夏がこそっと稜に話しかけている。
羚汰は、1人前としては少し大きめのピザ2枚を順にテーブルに並べてながら、声に出さないように笑っている。
稜としても、何だか不思議な気分だ。
真っ白のコックコートに、ハンチングっぽい帽子を被っている。
以前も見かけていたのかもしれないが、意識して見るのは初めてでドキドキが止まらない。
稜とは逆にすごく楽しそうな羚汰は、さり気なく稜の椅子の近くに立ち、その背中に手を添わせてくる。
あくまでもナチュラルにそう動いて、机の上のものを動かすためかのように稜の耳に顔を近づけて囁く。
「いらっしゃい、稜。待ってたよ」
そう言われただけなのに、稜が真っ赤になってしまう。
羚汰から発せられる色気が、見慣れないコックコートで倍増しているように見える。
今朝、羚汰がいつも以上に何だかご機嫌だったのは、千夏が予約をしていたのを知っていたからか。
そう気づくと、朝ギリギリまで行われた濃厚な情事までもが鮮明に思い出される。
湯気が出そうなくらいまで真っ赤になる稜に、目の前の2人は一体何を言われたのかと興味津々だ。
そんな3人の様子に、満足そうな羚汰。
「じゃ、俺は行かなきゃ。...ごゆっくりどうぞ」
他のお客に見えないように、にいっと笑って会釈をすると、爽やかに去っていった。
「なになに、“愛してる”とでも言ったわけ?」
「違う。違うから」
手でパタパタと自分の顔を煽ぐ。
やたらと暑くて、汗が吹き出ているように感じる。
「あやしーい」
早速ピザを口に入れながら、2人は楽しそうに笑っている。
「稜も食べてよ、ピザ」
「うん。ありがと」
稜もここのピザは大好きなのだ。
「もう、羚汰も知ってたら、今朝言ってくれたらよかったのに」
「やっぱり内緒にしてくれてたんだ。気になってたんだよねー。私も羚汰くんに予約したんじゃないからさ」
千夏が予約の電話をした時は、明らかに別の人で。
羚汰に電話を代わってもらうのもおかしいし、だからといって羚汰の連絡先を知ってるわけでもない。
連絡しようがなくて、少し不安に思いながら今日を迎えたらしい。
チーズのいい匂いが瞬く間に辺りに充満して、三人の食欲を呼び覚ます。
「本当に羚汰くんが持ってくるんだね」
他のお客さんに聞こえないように、千夏がこそっと稜に話しかけている。
羚汰は、1人前としては少し大きめのピザ2枚を順にテーブルに並べてながら、声に出さないように笑っている。
稜としても、何だか不思議な気分だ。
真っ白のコックコートに、ハンチングっぽい帽子を被っている。
以前も見かけていたのかもしれないが、意識して見るのは初めてでドキドキが止まらない。
稜とは逆にすごく楽しそうな羚汰は、さり気なく稜の椅子の近くに立ち、その背中に手を添わせてくる。
あくまでもナチュラルにそう動いて、机の上のものを動かすためかのように稜の耳に顔を近づけて囁く。
「いらっしゃい、稜。待ってたよ」
そう言われただけなのに、稜が真っ赤になってしまう。
羚汰から発せられる色気が、見慣れないコックコートで倍増しているように見える。
今朝、羚汰がいつも以上に何だかご機嫌だったのは、千夏が予約をしていたのを知っていたからか。
そう気づくと、朝ギリギリまで行われた濃厚な情事までもが鮮明に思い出される。
湯気が出そうなくらいまで真っ赤になる稜に、目の前の2人は一体何を言われたのかと興味津々だ。
そんな3人の様子に、満足そうな羚汰。
「じゃ、俺は行かなきゃ。...ごゆっくりどうぞ」
他のお客に見えないように、にいっと笑って会釈をすると、爽やかに去っていった。
「なになに、“愛してる”とでも言ったわけ?」
「違う。違うから」
手でパタパタと自分の顔を煽ぐ。
やたらと暑くて、汗が吹き出ているように感じる。
「あやしーい」
早速ピザを口に入れながら、2人は楽しそうに笑っている。
「稜も食べてよ、ピザ」
「うん。ありがと」
稜もここのピザは大好きなのだ。
「もう、羚汰も知ってたら、今朝言ってくれたらよかったのに」
「やっぱり内緒にしてくれてたんだ。気になってたんだよねー。私も羚汰くんに予約したんじゃないからさ」
千夏が予約の電話をした時は、明らかに別の人で。
羚汰に電話を代わってもらうのもおかしいし、だからといって羚汰の連絡先を知ってるわけでもない。
連絡しようがなくて、少し不安に思いながら今日を迎えたらしい。

