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第86章 NEXT
「うん...」

そうだ。あまり突っ走ったらダメだ。

明らかにしゅんとなったのを感じ取ったのだろう、また羚汰が笑っている。

「明日から、ちょっとずつクリアしていこ」

「そう、だね...」

「大丈夫だって。ほら、まだ暑いじゃん?」

「へっ?」

突拍子もない言葉に変な声が出る。

「これから、涼しくなって秋が来てー。葉っぱが舞って。それからぐっと日が落ちるのが早くなって。それから段々寒くなって、冬が来るでしょ」

「...うん」

「ね。まだ先じゃん?12月なんて」

そう言われてみると、そうかもしれない。
まだクーラーが必要なぐらい暑いのだ。
きっと、12月は逆に暖房が必要なぐらいで。

「ホントだね」

「ね!」

体の緊張が解けてゆく。

羚汰には、本当に敵わない。

今の稜に必要な言葉というのをよく分かっている。

「...羚汰」

「ん?」

目の前で絡まった手を握りしめ、引き寄せる。

「大好き」

ふふっと耳元で笑って、そのまま唇が触れる。

「俺も」

顔を寄せ合い、優しく包むように唇が触れる。

もっと強く重ねて、熱く舌を絡めたいのをなんとか踏みとどまる。

羚汰の指が名残惜しそうに唇をなぞっていたが、慌てて定位置に戻る。

「...ヤバイって。ほんとに寝なきゃ」

「うん。...お休み」

羚汰がほんのりついていたスタンドの電気を消して真っ暗になった。
また寄り添って横になる。

稜はまだ眠くはなかったが、固く目を閉じた。
ベッドに入ったのが12時過ぎていたのだ、きっともう3時近いだろう。

「ん...。オヤスミ」

とりあえず眠ろう。

そして、明日から考えよう。


さっきまで、あんなに目が冴えていたのに。

暗くなって目をつぶると、ぐーっと睡魔が襲ってきた。


羚汰の温もりや息遣いが心地よくて。

引き込まれるように、眠りについた。




夢を見る。

いつか見た、明るく柔らかな雲の上。

同じように抱きしめられて眠っている。


後ろを振り向かなくてもわかる。

温もりや息遣い。


絡めた指には、見たことのない指輪が2つ光っている。













          End
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