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NEXT 【完結】
第85章 母の思い

「それでいて、その顔に嘘がないって」
「...嘘?」
にっこり笑って、間をとる。
そんな所は本当によく似ている。
「貴女、本当に素直なのね。思ってること全部顔に出てるわ〜」
なんだか褒められているというより、馬鹿にされているんではないだろうかと思えてくる。
「本当にあの子が好きなのね〜」
「...はい」
そこは否定したくない。
「でも、表現するのは、私本当に苦手で。羚汰くんのほうがいっぱい、その...表してくれてて」
前カレの時、散々我慢して、自分の気持ちを押し殺して。
もうあんな苦しいのは嫌だと思った。
そんな時に、羚汰が溢れんばかりの愛を表してくれて、その思いに必死で応えたようなものだ。
それでもまだ、羚汰から与えられるもののほうが多い。
毎日羚汰が帰って来る時も、羚汰のあの笑顔に癒されて。
つられて笑顔になって。
お弁当だって、羚汰の喜ぶ姿の為に作ったり。
逆に羚汰が作ってくれることも多いし。
洗濯だってー。
ふふふふ、と笑う声がして、はたと我に返る。
「え、あの」
「いいのいいの。あなた達2人を見てると、私まで嬉しくなって。じーさんや、シュウや知世ちゃんも。あ、もちろんチビたちも。みんなすっごく嬉しいのよ」
そんなふうに思って貰えるなんて。
稜こそ嬉しくなって、言葉に詰まる。
「何やってんの?」
勢いよくドアが開いてびっくりして振り返ると、羚汰が立っていた。
「びっくりしたー」
「リョウくん、驚かさないで」
「驚くのはこっちだよ。ってか、お袋何やってんの。稜をイジメてんじゃないだろうね。って、稜、涙目じゃん」
「違う違う」
涙目だった?そんなつもりはなかったけど。
「あんた本当に変わったわねぇー」
「...お袋。何か台所でお湯がグラグラしてたみたいだけどいいの?」
「あら、嫌だ。もう、早くそれ言ってちょーだい」
羚汰を押しのけるようにして、大慌て台所へ去って行った。
洗面台に広げたままの化粧道具を広い集めていると、羚汰が手伝ってくれる。
「何か変な事言われた?」
「ううん。そんなんじゃないけどー」
さっきの羚汰の母親の話だと。
春休みにイタリアに行く予定だった。
しかも、卒業してからイタリアに住む予定だった。
それは本当だろうか。
「ん?」
わたしのセイで、それらを諦めている?
「...嘘?」
にっこり笑って、間をとる。
そんな所は本当によく似ている。
「貴女、本当に素直なのね。思ってること全部顔に出てるわ〜」
なんだか褒められているというより、馬鹿にされているんではないだろうかと思えてくる。
「本当にあの子が好きなのね〜」
「...はい」
そこは否定したくない。
「でも、表現するのは、私本当に苦手で。羚汰くんのほうがいっぱい、その...表してくれてて」
前カレの時、散々我慢して、自分の気持ちを押し殺して。
もうあんな苦しいのは嫌だと思った。
そんな時に、羚汰が溢れんばかりの愛を表してくれて、その思いに必死で応えたようなものだ。
それでもまだ、羚汰から与えられるもののほうが多い。
毎日羚汰が帰って来る時も、羚汰のあの笑顔に癒されて。
つられて笑顔になって。
お弁当だって、羚汰の喜ぶ姿の為に作ったり。
逆に羚汰が作ってくれることも多いし。
洗濯だってー。
ふふふふ、と笑う声がして、はたと我に返る。
「え、あの」
「いいのいいの。あなた達2人を見てると、私まで嬉しくなって。じーさんや、シュウや知世ちゃんも。あ、もちろんチビたちも。みんなすっごく嬉しいのよ」
そんなふうに思って貰えるなんて。
稜こそ嬉しくなって、言葉に詰まる。
「何やってんの?」
勢いよくドアが開いてびっくりして振り返ると、羚汰が立っていた。
「びっくりしたー」
「リョウくん、驚かさないで」
「驚くのはこっちだよ。ってか、お袋何やってんの。稜をイジメてんじゃないだろうね。って、稜、涙目じゃん」
「違う違う」
涙目だった?そんなつもりはなかったけど。
「あんた本当に変わったわねぇー」
「...お袋。何か台所でお湯がグラグラしてたみたいだけどいいの?」
「あら、嫌だ。もう、早くそれ言ってちょーだい」
羚汰を押しのけるようにして、大慌て台所へ去って行った。
洗面台に広げたままの化粧道具を広い集めていると、羚汰が手伝ってくれる。
「何か変な事言われた?」
「ううん。そんなんじゃないけどー」
さっきの羚汰の母親の話だと。
春休みにイタリアに行く予定だった。
しかも、卒業してからイタリアに住む予定だった。
それは本当だろうか。
「ん?」
わたしのセイで、それらを諦めている?

