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NEXT 【完結】
第85章 母の思い

新幹線に乗ってる間、雑誌をめくってはあーでもないこーでもないと2人で話し合った。
ラコルテを12月の頭の土曜夜、人前式をして。
そのまま披露宴。
ドレスやセットなんかも紹介してくれる。
ケーキは持ち込みも可能だし、雑誌に出てくるような激しく凝ったのでなければ、作ってもくれる。
司会は、そう必要とも思わないが、一応誰か後輩に頼む。
それより、結婚式としては急な招待になるだろうから、家族はともかく、親せきや友達にも早く連絡しないといけない。
12月なのだ。モタモタしてられない。
「時間、本当に無いなー」
「年内って本当にスグだね。春ぐらいじゃダメなの?」
春なら半年ほどあって。
準備も、連絡にも余裕がある。
大概半年前ぐらいから用意することが多いのではないだろうか。
「年内!」
羚汰が結婚式を年内にしたいのは、年明けから卒論で忙しくなること。
就職先の研修が、卒論終了後スグに始まりそうなのと。
都内で暮らす部屋を探して、仕事が始まる春までに引越しを終えたいこと。
などなど、年明けてからはバタバタとしてしまう。
だから、その忙しくなる前に済ませておきたい。
羚汰が急いでいる、その現実的な理由に、なんだか少しがっかりしてしまう。
それでも雑誌のページを何食わぬ顔でめくっていると、羚汰の顔が近づく。
「それに...」
「それに?」
ページをめくっていた手に、稜の指が絡まって持ち上げられ、羚汰の唇が触れる。
「12月で、1年じゃん?」
そう言われて、思い出す。
付き合い出したのが、12月の頭だ。
12月は色々あった。
料理教室があって、そのままデートして、マンションで互いの思いを打ち明けあって、結ばれた。
見合い話が持ち上がったり。
羚汰に子どもがいるかもと苦しんで、人違いとわかって。
2人でマンションの屋上でクリスマス会をして。
もっと仲良くなって。
「それで?」
「うん。いいでしょ」
いつの間にか、唇が触れる距離だ。
「羚汰...。知ってる?新幹線の中だよ」
場所をすっかり忘れているかのような羚汰の動きに、小声で忠告するも、稜も顔をそらそうとはしない。
「しーーっ。それに...」
楽しそうに静かに笑いながら羚汰がそう言うと、稜も顔がほころぶ。
そっと唇が触れて、離れる。
「早く結婚、したくない?」
ラコルテを12月の頭の土曜夜、人前式をして。
そのまま披露宴。
ドレスやセットなんかも紹介してくれる。
ケーキは持ち込みも可能だし、雑誌に出てくるような激しく凝ったのでなければ、作ってもくれる。
司会は、そう必要とも思わないが、一応誰か後輩に頼む。
それより、結婚式としては急な招待になるだろうから、家族はともかく、親せきや友達にも早く連絡しないといけない。
12月なのだ。モタモタしてられない。
「時間、本当に無いなー」
「年内って本当にスグだね。春ぐらいじゃダメなの?」
春なら半年ほどあって。
準備も、連絡にも余裕がある。
大概半年前ぐらいから用意することが多いのではないだろうか。
「年内!」
羚汰が結婚式を年内にしたいのは、年明けから卒論で忙しくなること。
就職先の研修が、卒論終了後スグに始まりそうなのと。
都内で暮らす部屋を探して、仕事が始まる春までに引越しを終えたいこと。
などなど、年明けてからはバタバタとしてしまう。
だから、その忙しくなる前に済ませておきたい。
羚汰が急いでいる、その現実的な理由に、なんだか少しがっかりしてしまう。
それでも雑誌のページを何食わぬ顔でめくっていると、羚汰の顔が近づく。
「それに...」
「それに?」
ページをめくっていた手に、稜の指が絡まって持ち上げられ、羚汰の唇が触れる。
「12月で、1年じゃん?」
そう言われて、思い出す。
付き合い出したのが、12月の頭だ。
12月は色々あった。
料理教室があって、そのままデートして、マンションで互いの思いを打ち明けあって、結ばれた。
見合い話が持ち上がったり。
羚汰に子どもがいるかもと苦しんで、人違いとわかって。
2人でマンションの屋上でクリスマス会をして。
もっと仲良くなって。
「それで?」
「うん。いいでしょ」
いつの間にか、唇が触れる距離だ。
「羚汰...。知ってる?新幹線の中だよ」
場所をすっかり忘れているかのような羚汰の動きに、小声で忠告するも、稜も顔をそらそうとはしない。
「しーーっ。それに...」
楽しそうに静かに笑いながら羚汰がそう言うと、稜も顔がほころぶ。
そっと唇が触れて、離れる。
「早く結婚、したくない?」

