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NEXT 【完結】
第31章 相談

忙しい月曜日の仕事の合間をぬって、お昼休みを早めに取る。
大急ぎで弁当を食べ、ビルの非常階段に行き電話を掛ける。
寒さに震えながら、有希子に電話をする。
コートを着てデスクで使っているひざ掛けも巻いてみたが、ビル風が吹くコンクリで出来た階段は真冬でなくても冷える。
有希子は、数年前から尚の父親が経営する小さな建設会社で手伝いをしている。
手伝いと言っても、ほぼ会社の事務的な事をを任されているといってもいい。
結婚当初は手伝うつもりはなかったのだが、次第に手伝うようになり、職人気質の尚と尚の父親。そして先代の社長となる尚の祖父。そして数人の職人を束ねている。
尚と結婚したことで進学は諦めたのだが、高校では常に5番以内にいるような秀才だった。
有希子が事務を手伝うようになり、会社の売り上げは飛躍的にUPしたらしい。
忙しいかな...。
何度かコールを鳴らして諦めかけた時、有希子の声がした。
「はいはい。ごめん今コーヒー注いでて」
「こっちこそ、忙しいトコごめん。今、ちょっと話せる?」
「いいよー。今誰も事務所いない」
千夏の静かだが温かい声が、稜の寒さを和らげる。
弟の空人に猛反対されたこと。
お見合いを母と義妹に強く勧められ、する方向に決まってしまったこと。
それらを彼には言えずにいること。
ざっくりではあったが、なんとか泣かずに伝える。
「...そっかー。大変だったね」
「どうすればいい、のかな?もうわけがわからなくなって...」
有希子も沈黙が続く。
「そうねぇ~」
こんな事、相談されても困るよね。
でも、誰かに聞いてほしかった。
嘘でもいいから、味方をしてほしかった。
「私が尚と付き合い初めに稜が言ったこと、覚えてる?」
「...覚えてない」
どちからというと進学校だった稜と有希子の高校と、尚が通っている結構荒れていた男子校は、同じ地元にあったものの特に交流はなかった。
2年生の秋の文化祭にやってきた尚が、生徒会の副会長として文化祭をガンガン仕切っている有希子に一目惚れし、猛アタック。
あのテこのテで有希子に近付き、いつの間にか付き合うことになっていた。
優等生の有希子と地元で悪かった尚のカップルはとっても目立ち、各方面から大反対を受けた。
大急ぎで弁当を食べ、ビルの非常階段に行き電話を掛ける。
寒さに震えながら、有希子に電話をする。
コートを着てデスクで使っているひざ掛けも巻いてみたが、ビル風が吹くコンクリで出来た階段は真冬でなくても冷える。
有希子は、数年前から尚の父親が経営する小さな建設会社で手伝いをしている。
手伝いと言っても、ほぼ会社の事務的な事をを任されているといってもいい。
結婚当初は手伝うつもりはなかったのだが、次第に手伝うようになり、職人気質の尚と尚の父親。そして先代の社長となる尚の祖父。そして数人の職人を束ねている。
尚と結婚したことで進学は諦めたのだが、高校では常に5番以内にいるような秀才だった。
有希子が事務を手伝うようになり、会社の売り上げは飛躍的にUPしたらしい。
忙しいかな...。
何度かコールを鳴らして諦めかけた時、有希子の声がした。
「はいはい。ごめん今コーヒー注いでて」
「こっちこそ、忙しいトコごめん。今、ちょっと話せる?」
「いいよー。今誰も事務所いない」
千夏の静かだが温かい声が、稜の寒さを和らげる。
弟の空人に猛反対されたこと。
お見合いを母と義妹に強く勧められ、する方向に決まってしまったこと。
それらを彼には言えずにいること。
ざっくりではあったが、なんとか泣かずに伝える。
「...そっかー。大変だったね」
「どうすればいい、のかな?もうわけがわからなくなって...」
有希子も沈黙が続く。
「そうねぇ~」
こんな事、相談されても困るよね。
でも、誰かに聞いてほしかった。
嘘でもいいから、味方をしてほしかった。
「私が尚と付き合い初めに稜が言ったこと、覚えてる?」
「...覚えてない」
どちからというと進学校だった稜と有希子の高校と、尚が通っている結構荒れていた男子校は、同じ地元にあったものの特に交流はなかった。
2年生の秋の文化祭にやってきた尚が、生徒会の副会長として文化祭をガンガン仕切っている有希子に一目惚れし、猛アタック。
あのテこのテで有希子に近付き、いつの間にか付き合うことになっていた。
優等生の有希子と地元で悪かった尚のカップルはとっても目立ち、各方面から大反対を受けた。

