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NEXT 【完結】
第50章 ドライブデート

「あ、えーっと。...ベンチに座って」
そう言うと、ベンチのあるほうへまたぐんぐん歩き座る。
手をつないでいた稜も隣に座る。
「冷たっ...」
丸太をくり抜いて出来たようなデザインのベンチだったが、この真冬にこの時間ですっかり冷え切っている。
羚汰と違い、脚がタイツを履いているとはいえ出ている稜には、ベンチがかなり冷たく当たってしまったのだ。
「おいで」
羚汰に膝に乗るように促される。
周りを気にするも、誰もいない。
「誰もいないし」
ふてたような羚汰が気になる。
横座りで羚汰の膝の上に座って、そっと羚汰を抱きしめる。
ふふっと笑った音がして、羚汰も稜を抱きしめる。
「言っとくけど、普通に並んで座ったからね」
「ん」
稜のコートに顔を埋めている。
「それに、黙って夕日見てただけだから」
少しだけ顔をあげて、稜のほうを見る。
「ここの海、夕日沈むっけ」
にっこり笑っている。
いつもの羚汰に戻っているようで、安心する。
と同時に少し腹も立ち、また羚汰の顔を自分の胸に押し付ける。
「沈まない。ぼんやり暮れる海を見てた。面白くなかったし。それに、二日酔いで気分悪かったし。いい思い出はないよ」
「ふふっ。そうなんだ」
「そう!羚汰に言われるまで、忘れてたし。それに...」
羚汰の指が稜の口を塞ぐ。
「もういいよ」
指がそっと離れ、顔にかかる髪をよける。
「ごめん。...稜が今まで付き合ったヤツとか、色んな場所に想い出とかあるのはトウゼンだし。そーゆーの、頭ではわかってるんだけど。やっぱり目の当たりにしたらキツいわ」
「だから、それは...」
また稜の口が指でふさがれる。
「もういい。聞きたくない」
かなりキツイ口調で止められる。
怒ってるのだろうか。
でも、あの日、ここで思っていたことは、羚汰のことなのに。
それが言いたかったのに。
羚汰が大きくため息をついて、また稜の体を強く抱きしめる。
「ホントに俺は、ヤバイな...」
何やらぶつぶつつぶやいている。
「?羚汰?」
ふわふわの髪の毛を優しく撫でる。
「んー。ごめん。余裕無さすぎだわ、俺」
またこちらを見上げた羚汰にキュンとする。
羚汰が思うようなことは何もないのに。
悲しげに見つめる目のあたりを撫でる。
「稜...。キスして?」
そう言うと、ベンチのあるほうへまたぐんぐん歩き座る。
手をつないでいた稜も隣に座る。
「冷たっ...」
丸太をくり抜いて出来たようなデザインのベンチだったが、この真冬にこの時間ですっかり冷え切っている。
羚汰と違い、脚がタイツを履いているとはいえ出ている稜には、ベンチがかなり冷たく当たってしまったのだ。
「おいで」
羚汰に膝に乗るように促される。
周りを気にするも、誰もいない。
「誰もいないし」
ふてたような羚汰が気になる。
横座りで羚汰の膝の上に座って、そっと羚汰を抱きしめる。
ふふっと笑った音がして、羚汰も稜を抱きしめる。
「言っとくけど、普通に並んで座ったからね」
「ん」
稜のコートに顔を埋めている。
「それに、黙って夕日見てただけだから」
少しだけ顔をあげて、稜のほうを見る。
「ここの海、夕日沈むっけ」
にっこり笑っている。
いつもの羚汰に戻っているようで、安心する。
と同時に少し腹も立ち、また羚汰の顔を自分の胸に押し付ける。
「沈まない。ぼんやり暮れる海を見てた。面白くなかったし。それに、二日酔いで気分悪かったし。いい思い出はないよ」
「ふふっ。そうなんだ」
「そう!羚汰に言われるまで、忘れてたし。それに...」
羚汰の指が稜の口を塞ぐ。
「もういいよ」
指がそっと離れ、顔にかかる髪をよける。
「ごめん。...稜が今まで付き合ったヤツとか、色んな場所に想い出とかあるのはトウゼンだし。そーゆーの、頭ではわかってるんだけど。やっぱり目の当たりにしたらキツいわ」
「だから、それは...」
また稜の口が指でふさがれる。
「もういい。聞きたくない」
かなりキツイ口調で止められる。
怒ってるのだろうか。
でも、あの日、ここで思っていたことは、羚汰のことなのに。
それが言いたかったのに。
羚汰が大きくため息をついて、また稜の体を強く抱きしめる。
「ホントに俺は、ヤバイな...」
何やらぶつぶつつぶやいている。
「?羚汰?」
ふわふわの髪の毛を優しく撫でる。
「んー。ごめん。余裕無さすぎだわ、俺」
またこちらを見上げた羚汰にキュンとする。
羚汰が思うようなことは何もないのに。
悲しげに見つめる目のあたりを撫でる。
「稜...。キスして?」

