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NEXT 【完結】
第51章 旅行 〜前編〜

「いくつか持って帰るいちごがいるかねー?」
しゃべりながらおっちゃんがハウスに入ってきた。
電話するまで来ないって言ってたのに。
慌てて離れようとするも、羚汰が腰のあたりに手を回したまま、おっちゃんが来ても離そうとしない。
「ありゃ、お邪魔じゃったかな?」
そう言いながらも、掲げた箱を渡すためにずんずんと近づいてくる。
「ほれ、これにいるだけ詰めて帰り」
「えっ、いいんですか?」
なんとか羚汰を振り払って、その箱を受け取る。
「食べ放題ゆーても、そんなに食べれんじゃろ。ひと箱持って帰ればええよ」
がははと笑っている。
「ありがとうございます」
2人で頭を下げる。
「ほら、持って帰るなら、やっぱり最初のハウスがいいぞ。おー、これなんかいい具合だ」
最初のハウスに戻り、おっちゃんも摘むのを手伝ってくれて、すぐに箱がいっぱいになる。
「こんなに沢山、すいません」
「お腹いっぱいになったかね?」
「はい!すっごくいっぱい食べちゃった。ありがとうございます」
通常料金2人分を払って、おっちゃんに手を振りながらその農場を後にする。
「すっごい食べたねー。1人スーパーに売ってる2パック分ぐらいは食べたんじゃないかな。しかも、すごく美味しかったし」
「お昼どーする?」
「えっ、無理だよ!いちごでお腹いっぱい」
「稜、食べ過ぎだから」
「うっそ!羚汰も結構食べてたじゃん」
たわいもない話をしながらロッジに向かっていると、雪が積もっているところが増えてきた。
道路の雪はなくなっているのだが、路肩や、大きな木の上、民家の屋根、など、所々にこんもり積もっている。
空を見ると、快晴とまでは言えないものの、晴れていて心配はなさそうだ。
途中に道の駅があり、休憩がてら寄ってみる。
お土産コーナーや取れたて野菜コーナーが並ぶ。
ぷらぷらと見て回っていると、新鮮な野菜が数多く並んでいて、スーパーで買って持って来たのにと悔しくなるが仕方ない。
悔しいからこれ以上見ないでおこう。
そう思った矢先、どこかで見た顔があって立ち止まる。
「ねえ、羚汰」
「ん?何?」
手をつないだ羚汰が、隣の椎茸コーナーから目を背けている。
「さっきのイチゴのおじさんって木下さん?」
「うん。そうだけど。なんで今更名前」
「だって、見て、ほら」
しゃべりながらおっちゃんがハウスに入ってきた。
電話するまで来ないって言ってたのに。
慌てて離れようとするも、羚汰が腰のあたりに手を回したまま、おっちゃんが来ても離そうとしない。
「ありゃ、お邪魔じゃったかな?」
そう言いながらも、掲げた箱を渡すためにずんずんと近づいてくる。
「ほれ、これにいるだけ詰めて帰り」
「えっ、いいんですか?」
なんとか羚汰を振り払って、その箱を受け取る。
「食べ放題ゆーても、そんなに食べれんじゃろ。ひと箱持って帰ればええよ」
がははと笑っている。
「ありがとうございます」
2人で頭を下げる。
「ほら、持って帰るなら、やっぱり最初のハウスがいいぞ。おー、これなんかいい具合だ」
最初のハウスに戻り、おっちゃんも摘むのを手伝ってくれて、すぐに箱がいっぱいになる。
「こんなに沢山、すいません」
「お腹いっぱいになったかね?」
「はい!すっごくいっぱい食べちゃった。ありがとうございます」
通常料金2人分を払って、おっちゃんに手を振りながらその農場を後にする。
「すっごい食べたねー。1人スーパーに売ってる2パック分ぐらいは食べたんじゃないかな。しかも、すごく美味しかったし」
「お昼どーする?」
「えっ、無理だよ!いちごでお腹いっぱい」
「稜、食べ過ぎだから」
「うっそ!羚汰も結構食べてたじゃん」
たわいもない話をしながらロッジに向かっていると、雪が積もっているところが増えてきた。
道路の雪はなくなっているのだが、路肩や、大きな木の上、民家の屋根、など、所々にこんもり積もっている。
空を見ると、快晴とまでは言えないものの、晴れていて心配はなさそうだ。
途中に道の駅があり、休憩がてら寄ってみる。
お土産コーナーや取れたて野菜コーナーが並ぶ。
ぷらぷらと見て回っていると、新鮮な野菜が数多く並んでいて、スーパーで買って持って来たのにと悔しくなるが仕方ない。
悔しいからこれ以上見ないでおこう。
そう思った矢先、どこかで見た顔があって立ち止まる。
「ねえ、羚汰」
「ん?何?」
手をつないだ羚汰が、隣の椎茸コーナーから目を背けている。
「さっきのイチゴのおじさんって木下さん?」
「うん。そうだけど。なんで今更名前」
「だって、見て、ほら」

