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NEXT 【完結】
第68章 羚汰side☆short ver.
カーテンを少しだけ開けて、窓を開けた。

風の向きだろうか、びゅうっと冷たい空気が入ってきてカーテンが踊る。

慌てて振り返ったが、稜は布団にくるまって眠ったままだ。

冷たい風が、火照った羚汰の体を冷やしてくれる。

ふと思いついてベランダに出てみることにした。

ベランダに出て、窓を少しだけスキマを残して閉める。

外に出てみると、そこまで風は吹いていない。

それでも流石に半裸の体が冷えるが、空気がキレイで清々しい。

ベランダは東向きなので、正面の遠くの山の向こうに朝日があるのだろう。
今日は曇りなのか、ぼんやりとしかわからないが登ってきているのがわかる。

新聞配達だろうか、カブの音が少し遠くでしては止まって、また動き出してーを繰り返している。

腰と胸の間ぐらいの高さのコンクリートの塀に腕をついて、住んでいる街を見る。

繁華街がある街中より少し離れたこの地域は、どちらかというとマンションより、一戸建てが多い。
元々は工場が多い地域だったらしく、大きな建物もちらほら残っている。
そのせいか、住宅規制がないのだろう。
近くに大きな分譲マンションが立ち始めていて。
かろうじて今のところ1番大きいのがこのマンションだ。

このマンション以外にも、一人暮らしの出来る部屋はきっと沢山ある。

稜と出会えたのは、たまたま隣に住んだからで。

きっとすごい偶然だ。

本当はもっと大学に近いところを探してたんだけど。
あの水槽やらやたらデカい本棚のセイで、大きな部屋じゃないといけなくて。
安くて広い部屋がなかなかなくて、やっと見つかった掘り出し物のこの部屋。

なので、姉ちゃんの旦那がアメリカに短期で行くことにならなかったら、荷物を預かることはなく、この部屋はありえない。

俺が編入する大学も、今と違ってたら。

それを言うなら、イタリアに行かなければ。

その前、イギリスに留学しなければ。


考え出したらキリがない偶然がないと、稜とは出会えていない。

稜だって、バイト先にランチに来てなかったら、ただのお隣さんのままだし。

引越しの挨拶の時に、俺が諦めて挨拶の品をドアノブに引っ掛けてすませていたら。

ぼろぼろ泣いてなかったら。


今となったらどれもが必然で。

かけがえのない思い出だ。


「...羚汰?」

ガラリという音と共に、稜の声がした。
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