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少年悪魔
第20章 違和感



教室で名簿を確認し、ハルと呼ばれていた男子生徒は知崎遥斗という名前だと判った。
遥斗を見れば、彼はクラスメイトと男女を問わずにこにこと楽しそうに談笑している。
あんなにも目立つ人を、忘れるものなのだろうか。
繭が首を傾げていると、雛乃が近付いてきた。
「ねえ、繭。今度の日曜日さ、予定ある?栄に買い物しに行かない?」
「あ、行きたい。待って、予定ないか手帳見るから」
鞄からスケジュール手帳を取り出し、パラパラとページをめくるとコアラのスタンプが捺されたページが目に入った。
「…あれ。繭、東山動物園行ったんだ?」
「…あー、うん!ちょっとね!それよりどうする?待ち合わせ、栄のクリスタル広場でいい?ランチもしようよ!」
繭はごまかすように早口でまくし立てた。
本当は動物園に行ったことなんて覚えていない。



――何かがおかしい。


自分は何か大事なことを忘れている気がする。
だけどそれが何なのか、繭には判らなかった。
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