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私と絵のぐと
第4章 モデルはじめ
彼に指先だけでイかされ、また丸椅子に座りモデルをする。

「……………。」

最後までするつもりはなかったようだ。
私は、彼にあんなに欲情したのに、彼はしなかったのだろうか。
少しでも、瑠晴を欲しいと思ってしまった。

「……………。」

さっき抱かれた時とは、また違った熱い視線で私を描写していく。
体が熱い。

「…………よし。今日は終わり。」

静けさを彼の声が破る。

「また、ここに来てくれるよな?
 ………さっきは、ごめんな。
 同意もないのに……。」

こんなことをいう人だと思っていなかった。

「あ…なんか、変な感じ…。」

「けど、かわいい顔見れたから、俺的にはすげーよかった。元彼の前でもあんな顔してたのか?」

「わ、わかんないよ…。」

「ふーん…。ま、その辺は関係ないけど。
 また、来てもらうから連絡先教えろよ。」

「うん…。」

瑠晴のことを少し知れたけど、まだまだわからない。
私は、瑠晴を知りたいと思う。
けど、何を知りたいのかわからない。

「さっきの絵見せてくれないの?」

彼は煙草をくわえ、火をつけている。

「んー?ダメだ。未完成だからな。」

「…ケチ…。」

「ばーか。なんて言われても見せねー。」

残念。
彼の目に私が、どう映っているのか気になる。
可愛くもない私を彼はどうしてモデルにしたいと言ったのか分からなかった。

「それじゃあ…仕事の時は連絡ください。
 今日は帰ります。」

私は、席を立ち眼鏡をつける。

「ん。送るよ。」

「大丈夫です。来た道わかってますから。」

「ふーん。」

この扉の向こうは現実の世界だ。

ーガチャー

「お邪魔しました。では…。」

「ん。……眼鏡じゃない方が綺麗だぞ。」

去り際にそう言われ、私の心臓はドクンと跳ねた。
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