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私と絵のぐと
第7章 距離と体温
「だよね!ありがとうっ!」

私は、精一杯の笑顔を作る。

「けど、いきなりどうしたんだよ…?」

「理由は満月がいいからだよ?」

「そ…。いつまで居れる?」

「夕方まで…かな。」

私は、バレてしまうんではないかと心配だった。

「わかった。んじゃすぐ絵完成させる。アトリエに行くぞ。」

瑠晴の熱い視線に耐えられない。

「瑠晴…。」

「ん?」

「私、絵描かれてる時だけ好きになれるかな…?」

「どーした?不安か?」

「うん…。」

瑠晴が手を止め、視線が絡まる。

「んじゃあ、本気で好きにさせたらいいのか?」

そんな、真っ直ぐみつめないで…。

「大丈夫。好きになれる…。」

「無理しなくていい。」

違うんだよ。瑠晴に対して好きな気持ちが抑えられない。私は、このモデルじゃなくなった時の方が怖くて、好きって気持ちに気づいたのに、片思いで終わりそうで…。私だけ好きになってるんだよね。

「この作品を完成させたら、モデルはひとまず休憩。
 ちゃんと、お礼もするからな。」

やっぱり…。今一番起きてほしくないこと、言ってほしくないことが起きた。

「うん!期待してるよー!」

思ってもいないのに…。

「嬉しそうだな。」

悲しいよ。

瑠晴の体温が体に染み付いて、微笑む表情が私の脳裏に焼き付き、しばらく離れなかった。
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