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私と絵のぐと
第12章 幸福と恐怖
瑠晴と付き合い始めて数日後。今日は、人物画の発表会が行われる会場に来ている。

「うわ…すごい人…。」

記者やファンが多く集まっているのがわかる。
関係者もバタバタと忙しそうにしている。
女性のファンが多いのは一目瞭然。やっぱり瑠晴のルックスと繊細な絵に魅了されているんだろう。

「優瑠?」

後ろから声をかけられる。どこか聞き覚えのある声がした。

「え…?」

「やっぱり!優瑠だろ?」

「……悛(あらた)先輩ですか?」

「おー!すげ!覚えててくれたか!」

ニカッと笑うその顔は大学時代から変わらないものだった。
一つ上の先輩で、家も近所だった。
仲良くしてもらっていたが、体の関係もあった人だ。
もちろん当時は付き合ってもいない関係だった。

「その笑顔変わりませんね!」

「そうか?優瑠は…綺麗になったなー。」

「そんなことないです!今日は、どうしてここへ?」

「あー。今雑誌の編集者やってんだけど…今日の公開は特別だからな!女性ファンも多い奴だし!いいの取っておきたいんだよ!優瑠は、ファンなのか?」

一瞬ドキリと胸が鳴る。

「まぁ…そんなところですかね。プライベートで…。」

「ふーん!そっか!…そうだ!この後空いてるか?良かったら二人で飯でも?」

空いてるといえば空いてる…。瑠晴は、きっと打ち上げをかねて、何かあるだろうし…。けど、男性と二人でご飯っていうのも悪い気がする。しかも、相手は昔セフレだった人。

「私、今日は…。」

ートントンー
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