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カウントダウン
第6章 ウ 
「古川さんって蒼くんと本気で付き合っているんですか?」

ふと呼びとめられてきつい口調でそんな事を言われれば
この前、食堂のテーブルで研究の打ち合わせをしていた蒼くんに
くっついていた女の子だ。

なんて答えたらいいのか考えているうちに
私の答えが待てなかったらしい。

「古川さんなんて蒼くんに遊ばれちゃえばいいのに」

中等部から同じメンバーでずっとエスカレーターで来た私は
温室育ちだと自覚はしていた。
おっとりした校風の中で
いじめもなく、仲間の大きな争いもなく
本当にのんびり大人になってきた。
あなたたち、社会に出られるのかしら。
親たちのそんなため息も聞き捨ててきたけれど。

面と向かってこんな風に罵倒されたのは初めてで。
いったいなんて答えたらいいのか分からなかった。

「え・・・」

本当にビックリして、それしか言えない私に
「蒼くんって手当たり次第に女と寝てるの知ってます?」
蒼くんのプライベートをそんな風に
わざわざ聞かされるとは思わなかった。

「ちょっと可愛い女の子ならだれでもいいみたい」

うん。この子確かに可愛い。
そんな事を思っていたら
何も言わない私にさらに腹を立てたようで

「古川さんもそのうちの一人になるんですね」

と、クスクス笑う。

「そのうちの一人は君だよ。麻子ちゃん」


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