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監禁DAYS
第4章 今から逝かせて
パソコンに向かいかけた一郎を呼ぶ。
「さっきの質問答えてよ」
返事はない。
キーボードがカタカタ鳴るだけだ。
「昔は違う夢とかあったんじゃないの」
それでも振り向きもしない。
「まともな職に就くためにちょっとは勉強もしてさ」
溜息が聞こえるが、まだこちらを向く気配はない。
「そんなに同時進行の仕事が大事?」
キーボードの音が止まる。
ギギ、、と椅子がこちらに回った。
「……お前、どこまで知ってる」
「んー。私がここに来る一日前にもう一人、この建物の隣? まあ近くに拘束されて……監禁されているってこととか?」
一郎の顔がわかりやすく強張った。
そりゃもうウソだろって顔で。
「誰から聞いた」
「んーん。忘れちゃったなあ。ただあんまりにそっちばかり一郎が気に掛けたらちょっと嫌だから言っただけ。容赦ないよねえ。コンクリート建てのビルの扉封じをして地下に閉じ込めて、完全むこうは密室で動けもしないもんね。私みたいに直接じゃなくてそのウェブカメラって言うの? それに任せっきりだし。食料と水だけはあげてるのかな? 五日間は死なせちゃだめだもんね。それにしても、向こうも過酷よね。話し相手もいないし音もしないんだから。どうせなら女殺し屋ジュディとかでも送っとけばよかったのよ」
笑いに持ち上がりかけた唇が固まる。
一郎がつかつかとこちらに寄ってきて、いきなり口を塞いだからだ。
流石に突然で、手を舐めて茶化すこともできなかった。
「……お前か?」
たった一言。
略しすぎたような一言。
でも、私には通じた。
だって、だから、彼に依頼したんだもの。
「ええ。私よ」