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crazy night
第11章 蜜の味
閑静な住宅街の一角でタクシーを停め、二人は降りる。

目の前にはオートロックのマンションがたたずむ。
マンションに一目散に歩きだす雄二を見つめる有紗。

どうして雄二の家に向かうということになったのか、有紗は混乱していた。

「あ、あの…どうして?」

手をひく雄二は立ち止まる。

「さっき…本当は有紗ちゃんも俺に抱かれたかったって言ったよね」

確かに、言った。

「有紗ちゃんが士郎さんに抱かれたって聞いて…胸が張り裂けそうになった」

切なげな目で有紗を見つめ、ぐっと胸に引き寄せる。

腰にてをあてて、抱き締められた…

マンションのエントランスが二人を少しだけ照らしていた。

雄二はしばらく抱き締めると自分の胸から有紗を離し、ふっくらとした有紗の唇に、自分のそれを重ねる。

はじめは軽く、二度目は舌を滑り込ませた。

紛れもなくここは外である。

恥ずかしがる有紗に、雄二はそっと身体を離し艶のある髪の毛を撫でた。

「今さらだけど…家あがってかない?」

有紗を抱き締め、少し落ち着くといつもの優しい雄二に戻っていた。

半ば強引に連れて来てしまったことを後悔し、有紗へ穏やかに聞いてくれた。

ここまで来てそんな質問をされると思ってもみなかった有紗は、思わずふふっと笑ってしまった。

「本当に、今さら」

お互いに笑いあい、もう一度口づけする…
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