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その理由
第2章 生きること
また始まる。

クラスの女子のイジメ。

私に対する悪意、嫌悪、蔑み。


なんで私は生まれてきたのだろう…?
母にも愛してもらえず、父にも見捨てられ。

どうして生きているのだろう…?
私がここにいる理由は?


「そんなものは、きっとない…。」


全ては、偶然。


何かの漫画に全ては必然で意味があると言ってた気がする。


でも、私はそうは思えない。

だって、そうでしょう?


私が愛してくれない両親のもとに生まれて、イジメにあって…



意味があるとしたら

「死ぬため…。」


そうか…


私が生まれてきたのは、死ぬためだったんだ。


ニュースでイジメがいけないことだって訴えるためのただの材料。


なんだ…

分かったら、スッキリした…






「それじゃあ、死のうか…。」


目の前の川に脚を踏み入れる。


最期くらい、恋をしてみたかった。

貴方と恋愛をしたかった。






私の最期の願いと裏腹に、身体は冷たい川の水に沈んでいく。

寒くはない。

怖くもない。

意識が遠くなるーーーーーーーーーーー


















ーーー目の前に白い世界が広がる。



ここは、天国?



それとも…





「私…死ぬことができたのかな…。」



左手が暖かい…



「…‼︎」








左手の温もりが強くなった。



「金谷さん!」


「山田君…?」

「良かった…目が覚めて…。」

「私…死ねなかった…の…?」

「なんで、死のうとなんか…!」

「だって、私は死ぬために生まれてきたんだもの。」



そう、私は死ぬために生まれてきた。

なのに、死ねなかった…。


私が生まれた理由がなくなってしまった。



「あ…ぁあ…ああああああああああああ‼︎‼︎‼︎」



どうしたら良いの?



「金谷さん!人間は、死ぬために生まれてくるんじゃない!誰かを愛するために生まれてくるんだ!人間が弱いのも…俺が金谷さんをイジメから救うこともできない弱い人間なのも…

誰かを求めずにはいられないようにだ!」


「私は…人を…貴方を愛しても…いいの…?


死に切れない私でも…?」



「いいんだよ…。





俺は、金谷さんが好きだ…。



俺が生まれてきた理由は…




君を愛するためだ…。」
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