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オルテンシア【紫陽花】~檻の中の花嫁~
第4章 02 SceneⅡ(ジューン・ブライド)
美月は、まるで感情を表していないこの眼が怖かった。そう、ひと月余り前のこと、社長室に呼び出され突如として〝結婚したまえ〟と不遜な態度で命じてきたときにも一瞬感じた、あの恐怖と全く同一のものだ。
「今日はメガネ、かけてないんだ。まるで別人みたいだね。結婚式のときも思ったけど、こっちの方が良い」
この男の声が少しいつもより高い(ハイ・)よう(トーン)に思うのは、気の回しすぎだろうか。