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オルテンシア【紫陽花】~檻の中の花嫁~
第5章 ☆♯03 SceneⅢ(SeaSide~海辺にて~)☆
ロマンス・グレーのマスターは、美月の父と同じか、幾つか若いくらいの歳だろう。チタンのメガネのフレーム越しの細い眼は優しげで、物腰もやわらかかった。
マスターの眼尻に刻まれた皺の一つ一つに、彼がこれまでの人生で乗り越えてきた哀しみ、更には歓びが隠れているに違いない。自分の父親ほどの年月を生きてきたこのマスターに、美月は、一つの試練を乗り越えるためには一体、どうすれば良いのか、どのように立ち向かえば良いのかと訊ねてみたい衝動に駆られた。
マスターの眼尻に刻まれた皺の一つ一つに、彼がこれまでの人生で乗り越えてきた哀しみ、更には歓びが隠れているに違いない。自分の父親ほどの年月を生きてきたこのマスターに、美月は、一つの試練を乗り越えるためには一体、どうすれば良いのか、どのように立ち向かえば良いのかと訊ねてみたい衝動に駆られた。