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オルテンシア【紫陽花】~檻の中の花嫁~
第6章 ☆♯04 SceneⅣ(情炎~JOUEN~)☆
「―」
美月は唇を痛いほど噛みしめた。うなだれたまま、まるで連行される罪人のように男の後に従った。
目指す宿には直に着いた。車を停めたその場所は既に駐車スペースになっていたらしく、宿の建物まではそのまま歩いて五分ほどの距離であった。
外観はいかにも鄙びた温泉宿といった風情で、二人が紺絣の着物のお仕着せを着た仲居に案内されたのは、本館とは庭を隔てて建つ別館の一隅であった。