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オルテンシア【紫陽花】~檻の中の花嫁~
第6章 ☆♯04 SceneⅣ(情炎~JOUEN~)☆
流石にそこまでされては口にしないわけにはゆかず、美月が渋々ながらひと口だけかじってみせると、晃司はまるで今にも死にそうな病人が奇蹟的な回復を遂げたように歓んだ。
その後、晃司の手から、美月はとうとう林檎一切れ全部を食べた。
―良い子だ。
晃司は白い歯を見せて顔を綻ばせ、幼い子どもにしてやるように美月の頭を撫でたのだ。それは美月が初めて見る晃司の人間らしい温かな笑顔だった。