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オルテンシア【紫陽花】~檻の中の花嫁~
第8章 ☆♯05 SceneⅤ(AnniverSarY~記念日~)☆
 美月は手に持った買い物カゴに幾つか商品を入れた。これもさしたる必要性があるわけではなく、半ば良い加減に手許にあった品を放り込んだのである。
 美月のこのときの所持金は、わずか数千円であった。それも、病室の枕許のサイドテーブルの引き出しにあった札束の中から、勝手に一枚だけ引き抜いてきたものの残りだ。これもあの男の金だと思えば、気は進まなかったけれど、今の美月には男から逃げるためにどうしても必要なものだった。
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