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第3章 ☆♯０１　ＳｃｅｎｅⅠ（紫陽花の庭）☆

　しかし、仮にも相手は自分の勤務する会社の社長である。しかも今は昼休みの真っ只中で断る理由もさして思い浮かばない。
　美月は不承不承、立ち上がった。
―私の貴重な昼休みを返してッ。
　と、眼の前の嫌味たっぷりな男に向かって怒鳴ってやりたいのを堪(こら)えながら。
　向こうのデスクでは実由里がおどけたように肩をすくめている。何を隠そう、実由里もまた、こういう類の男は敬遠するタイプなのだ。