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オルテンシア【紫陽花】~檻の中の花嫁~
第8章 ☆♯05 SceneⅤ(AnniverSarY~記念日~)☆
 ワンピースもアクセサリーも、翻訳の仕事で得たなけなしの金で買った。殊にイヤリングは、幼い頃に憧れた人魚姫の涙を思わせる繊細なデザインで、光が当たる角度によってキラキラときらめいて、夢のように美しい。けして高価な品ではないが、美月の趣味の良さを窺わせ、彼女の本来持つ可憐な雰囲気を引き立てるのに成功していた。
 対する勇一は白のタートルネックのシャツにモノトーンのツイードのジャケット、黒のスラックスで決めていた。
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