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オルテンシア【紫陽花】~檻の中の花嫁~
第8章 ☆♯05 SceneⅤ(AnniverSarY~記念日~)☆
「―勇一さんの意地悪」
美月が泣き笑いの顔で軽く睨むと、温かなぬくもりがほんの一瞬、額に触れ、離れていった。それは鳥の羽根が掠めるほどの、かすかな勇一の唇の感触だった。
美月の頬がうっすらと赤らむ。
「そうそう、笑顔の可愛いところも、あの頃と変わらない。これでも俺、美月さんが初恋の女(ひと)だったんだぜ?」
笑いながら言う勇一に、美月は真顔で首を振った。