この作品は18歳未満閲覧禁止です
オルテンシア【紫陽花】~檻の中の花嫁~
第9章 ♯06 SceneⅥ Autum Park
それにあの夜は、美月の妊娠騒動が持ち上がった日でもあった。美月は、今、思い出しても恥ずかしいほどに取り乱してしまったし、到底、そういう雰囲気ではなかったろう。
ふいに勇一の手が美月の華奢な身体に回った。いつもよりはやや性急な仕種で抱き寄せられ、美月はその逞しい胸板に頬を寄せる。
美月の編んだブルーグレーのセーターを通して、トクトクという規則正しい鼓動を刻む音が耳にまで響いてくる。