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オルテンシア【紫陽花】~檻の中の花嫁~
第3章 ☆♯01 SceneⅠ(紫陽花の庭)☆
人違い―、もし、眼前の男が本当に狂っているのでないとすれば、いちばん考えられるのは、これだった。要するに、美月を誰か別の女と間違えたのではないか、ということだ。
しかし、〝ゴージャスな女〟しか相手にしないと評判の社長がひとめ見て美月を尋ね人だと思い込むはずがないのである。
ほんの一瞬、空白が生まれる。次の瞬間、響いてきたのは社長の朗らかな笑い声だった。
「いや、勘違いしないで欲しいんだ」