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オルテンシア【紫陽花】~檻の中の花嫁~
第3章 ☆♯01 SceneⅠ(紫陽花の庭)☆
「これを君に進呈しよう」
 いきなり眼の前に突き出されたのは、一枚の薄っぺらな紙切れだった。
 美月が見るともなしに見つめていると、社長が口許を歪める。
―ふうん、こんな表情(かお)もするんだ。
 美月は冷めた眼で社長を観察した。穏やかな二枚目俳優に似ているといわれている男が酷薄そうに口の端を引き上げるなんて、一体、何人が知っているのか。こんな顔をすると、まるで別人だ。
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