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オルテンシア【紫陽花】~檻の中の花嫁~
第3章 ☆♯01 SceneⅠ(紫陽花の庭)☆
美月の眼に、今朝方、眼にしたばかりの海色の紫陽花が浮かぶ。
自分のデスクに戻ると、既に休み時間は終わり、他の社員たちは自分の机について各々の仕事に取りかかっていた。
机の片隅のガラスの一輪挿しの紫陽花とあの老婦人の丹精していた紫陽花が自ずと重なる。あの気高く慎ましやかな老婦人のように生きたいと願っていたのに、今の自分は最早、そんな願いを抱(いだ)くことすら許されないほど薄汚れてしまったような気がする。
自分のデスクに戻ると、既に休み時間は終わり、他の社員たちは自分の机について各々の仕事に取りかかっていた。
机の片隅のガラスの一輪挿しの紫陽花とあの老婦人の丹精していた紫陽花が自ずと重なる。あの気高く慎ましやかな老婦人のように生きたいと願っていたのに、今の自分は最早、そんな願いを抱(いだ)くことすら許されないほど薄汚れてしまったような気がする。