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サイドストーリー2
第2章 好きと言って
「預かっているものを返したい」

そうメールがあったのは夏も終わりのころだった。

預けていたものなんかあったっけ・・・

4年ぶりに来たそのメールの差出人が信じられなくて
しばらくメールを開く事が出来なかった。

かたくなにメアドを変えなかったのは
この人からのメールが来るかもしれなかったから。

でも、メールなんて来ないって心の底では分かってた。
それでも、たった1%の可能性を捨てられなくて
メアドは変えることは出来なかった。

レン先輩が卒業して。
私は大学生活の間に一人の人とお付き合いをしたけど。
レン先輩以上に好きになることは出来なかった。

もう。好きなだけ好きでいたらいいよ。
さくらちゃんは、半分呆れた感じで笑って言ってくれた。

自分の心に嘘は付けないの。
レン先輩以上には、誰の事も好きにはなれない。

そう思っていたはずなのに。
実際に本人からメールが来ると
いったい何が書いてあるのか、怖くて。

誰かに「いまだに梨乃はレンの事を好きでいるらしい」なんて聞いて
「気持ち悪いから忘れてくれ」と言うのだったらどうしよう。とか
26歳になるレン先輩が「結婚が決まったから」って言うのだったらどうしよう。

そんな風に色々考えて、なかなか開くことのできなかったメールは
「預かっているものを返したい」
だった。

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