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サイドストーリー2
第2章 好きと言って
「あの・・・」

いい加減にしてくれと言われるんだろうか。

「まだ、俺の事、好き?」

ゆっくりと、私の好きな声で、私の目を見て言う。
口元は笑っているのに、目だけは笑っていない。

嘘を言うことは出来た。
けど、嘘を言って何になるんだろう?

「はい」

一瞬、張りつめた空気の後でレン先輩が顔を崩した。

「良かった。預かっていたものは、梨乃の時間」
「じか・・・ん?」

「俺たち、あの時から、時間が止まってる。
俺はどうやっても、梨乃を忘れることなんか出来なかった」
「・・・・」

「もし。梨乃の時間も止まっているなら。
2人で時間を取り戻そう。2人で時間を進めよう。
俺の時間を動かしてくれるのは梨乃しかいないんだよ」

「せんぱ・・・」

「ハルトにはきちんと電話したよ」
「・・・・」

「待たせて悪かったな」
「レン先輩!」

涙がほほを伝った。

あぁ・・・この人を好きでいていいんだ。

まるで・・・スローモーションのように。
レン先輩が思い出のファミレスで、私にキスをした。


「梨乃。好きだよ」

―――その一言が、欲しかった。


君がため惜しからざりし命さへ 長くもがなと思ひけるかな

――君に一目会えるなら死んでもいいと思ったけれど 
 こうして会えた今は君とずっと一緒にいたい――
(小倉百人一首第50番 藤原義孝)


END*****




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