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理想と偽装の向こう側
第7章 利用と束縛
「何か裏があるんじゃない?」


水曜日、約束通り行き付けの『Piazza』で黎子と落ち合った。


乾杯することなく、いつものハイネケンを一気に半分まで飲んで、開口一番に吐いた黎子のセリフである。


私はジントニックを飲みつつ


「裏って…小田切さんが?」


「他に誰がいるの。裏ってほど胡散臭くはないけど、何かの意図は感じるのよね…」


黎子の場合、動物的感ではなく、理にかなってないときに感じるそうだ。 


「どこら辺が、スッキリしないの?」


黎子は私の鼻先に前に人差し指を立てながら


「あんたたちの関係を考えたら、普通だったら人呼ばないと思わない?」


「うん…それは思った。だから、昨日呼んだのも最初は不思議だったし…」


黎子は頷き、今度は中指も立てた。


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