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理想と偽装の向こう側
第8章 絶対服従
嘉之とベッドの間に、頭は強く挟まれる。


容赦なく嘉之の舌が私の口の中を掻き回し、その音がクチュクチュと聞こえる度に怖くなってきた。


利き腕の右腕はさっき倒れた際に自分の背中で下敷きにしまってるし、左手は嘉之に押さえ込まれている。


シャツのボタンを外そうとしてるのが分かるが、一番上は外し難かったのか無理やり引っ張り、ボタンが飛ぶ音が微かに聞こえた。


なんとか動かせる足をジタバタさせたが、それも難なく嘉之の足で動かいようにさせられた。


182cmの長身が、全身に被さり身動きが取れなくなった。


あぁ…ダメだ…絶対逃げられない…。


その時だ…


「チャラチャラ~」


私の携帯だ!
きっと、小田切さんだ。


化粧室でメールしてから、連絡入れてなかったし。


コール音は、かなり長く鳴っていたが、ある程度になると留守電になってしまう。


「ん~ん~!」


なんとか電話に出れるよう、抵抗してみると嘉之が唇を離した。


「なんだよ?」


「し、仕事関係かも…出ないと…」


これは絶好のチャンスだ!
ベッドから離れられたら何とかなるかも!


けど、そう思った期待は、


「無視!」


一言で、淡く散った…。

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