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理想と偽装の向こう側
第9章 衝動と不安
「こちらへ、どうぞ」
「あっはい!」


来場名簿に記帳して、一枚一枚ゆっくり見だした。 


ジャンルとしては現代アート、割とポップなものもあれば、個性的なものもある。
ただ感じたのが、色合いが割と柔らかい色調が多かった。


先日のインタビュー記事を読んでたら、結構我が強く俺様なイメージだったけど…
内面は、そこまででは無いのかも…。


特に目を引いたのは結構大きめの作品で、グリーンを色調にした作品だ。


『Cielo verde』


「シ…エロ?」
「シエロ ヴェルディです」 


振り向くと、さっき案内してくれた人だった。


「渡辺さん、凄い真剣に見てるから気になって。」


笑いながら言われた。


この人、もう名前覚えたんだ。


「えっと…」
「あっ俺、安岡です。須永の友人で、手伝い頼まれて」


安岡さんて言うのか…急にフレンドリーだな。

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