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理想と偽装の向こう側
第10章 信頼と疑惑
ひたすら無言で歩き続けた。


嘉之は早歩きだが20cmの身長差もあるから、小走り状態で引っ張られる。 


飲んだ後だから、少しキツイな…。


マンションに着き部屋に入るなり、嘉之は私を壁に押し付けた。


「ゴンッ!」


「痛ったぁ!」 


勢い余り、頭をがぶつかりかなり痛い。


そんな状況を無視して、嘉之は容赦なく強引にキスしてきた。


しょうがない…大人しく答えるしかない…
いつものパターンだから…。


五分くらい経っただろうか、やっと顔を離し私の頭を包み込む様に抱き締め…か細い声で


「…香…織……好き…」

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