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理想と偽装の向こう側
第10章 信頼と疑惑
基本的にメールしても返信も殆どないし、会いたいと言っても嘉之の都合のいい時しか会えない。


『自分のことを好きな人』


元木さんの言う通り…
嘉之を好きなら、誰でもいいんじゃないかな。


ただただ、自分を裏切ることなく…
絶対的な愛情を注いでくれる人…
まるで、母親の様に…。


もし、元木さんが凄い頑張ったら?


嘉之にとって、元木さんの存在が大きくなったら…。


その時私は、『不必要』になるんじゃないだろうか



今までを振り返って、決して嘉之が私を必要としてない訳じゃない。


ただ…たった一言の『好き』が、貰えない不安が一気に吹き上がる。


「ブクブクブク…」


湯船に潜っていく。


いつまでも、この静けさの中に身を委ねたくなった。

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