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理想と偽装の向こう側
第4章 同棲スタート
その返事に小田切さんは、ふっと微笑んだ。


よく微笑む人だな…
けど、この笑顔を見ると、なんか胸がポカポカしてくるな…。


「香織んは、何時に仕事終わる?明日は定時に上がれるの?」


「定時は18時です。多分そんな今は忙しくないから定時で上がれると思うけど」


ん?また何か策略か…!


思わず警戒すると。


「明日、俺も早く帰れるから、家で一緒にご飯食べよう」


「家で…一緒に…」


「折角、同棲スタートだからね。乾杯しよう!小田切スペシャルカレー作るから一緒に食べよう。家なら、気にすることなくトグロ巻けるしね!」


出た!小田切スマイルと親指っ!!  


「小田切スペシャルカレーですか…」


「美味いよ~!」


うっ…かなり心惹かれる…
色気より食い気になってきてるな…。


「…それは、楽しみだな…」


正直に気持ちを述べてみた。


小田切さんは、ポンっと私の頭に手を乗せて、目線が合うところまで前屈みになったので、思わずドキッとしてしまう。


「香織んも作るの手伝って。だから明日は、ピンポンダッシュで帰ってくること!」


「ピンポンダッシュ~!?」


そう言うと、小田切さんは至近距離で反則なくらいの笑顔を見せた。


「そう!フライディング気味にね!」


フライディングって~何か子供みたいだな…。


想像すると、口元綻んでしまう。


そんな私を小田切さんが、満足気に見ているのだった…。


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