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理想と偽装の向こう側
第11章 亀裂
23時半になる頃


「疲れた…」


私は、泣き疲れていた。


どこからこれだけ出てくるのか不思議なくらい泣いた。


周りには、涙や鼻を拭ったティッシュの山が出来上がっていた。


捨てたらゴミ箱が一瞬で山盛りになるな…。


本当に帰ってくるのかな…。


『遊びは割りきってたから…』


今度は、安岡さんの言葉が過る…。


どうしてもプラス思考には成れないな。


また、涙が出てきてキリがない。


「帰ろう…」


まだ、電車は走ってる。


洗面所に顔を洗いに行き鏡に映る顔をみると、瞼が泣き腫れて酷かった。


「ハンカチ濡らして冷やすか」


それでも、涙はポタポタ落ちる。


あぁ…もう私、壊れてるんじゃなかろうか…。


ハンカチで瞼を冷やしながら、部屋に戻り荷物を持って玄関に向かおうとした時…

ガチャリ…

鍵が開く音がした。




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