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理想と偽装の向こう側
第11章 亀裂
なんで笑うの…

凄く苦しいのに…。


そんなに自分のことで、泣いてる姿が嬉しいの?
どんだけ俺様なのよ!


「お願い…帰るから、離して!」


「なんでだよ。久々なんだからゆっくりして行けよ」


話が噛み合ってない!


「顔…顔酷いから…嫌っ…」


「大丈夫だよ…可愛いよ」


凄く優しい声で囁きながら瞼にキスをされたが、愕然としてしまう。


酷い…ドSだな…

ダメだ…力で勝てる訳ないし…。


私は身体の力が抜けていった。


結局帰れなくなり私がシャワーを浴びてる間、嘉之はシチューを食べていた。


髪を拭いていると


「香織…こっちきて」


手招きされる


「髪…まだ、濡れてるから…」


「大丈夫だから」


嘉之が良くても、私は気にするんだけど…仕方ない…。

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