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理想と偽装の向こう側
第11章 亀裂
駅を越えて、橋に向かった。


何故だか、橋から川を眺めると落ち着く気がしたから。


近くまで着くと長身の男性が川を眺めながら、遠くを見ている…。


何か思い詰めてる感じだな…
ここでこんな風にするの私だけじゃないんだ。


そんな事を思っていたら、男性は去っていった…。


さっきまで男性が立っていた位置で立ち止まり、川をみると水面はいつもの如く月明かりを反射させキラキラ光り、水がサラサラ流れる音を聴いてると、気持ちが穏やかになってくる。


ヒーリング効果だね。 


この穏やかな川も、大海に繋がっているんだよね…。


私も嘉之も、大きく広がる未来に繋げて行けるのかな…?


最初の頃の方がその確信があったのに、今は日に日に自信は無くなるどころか不安だけが募る…。


『どうしたら』いいんだろう…。


誰か知ってたら、お願いだから教えて欲しい…。


切実に願った…。


「はあぁぁぁ~」


大きなため息を落とし、トボトボと嘉之の家に向かった。

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