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理想と偽装の向こう側
第13章 対決
◎ ◎ ◎ ◎

脱力感でトボトボと駅の改札を出る。


階段を降りると、今一番会いたい人がいた。


「小田切さん…」


「香織ん…お帰り…」


そう言って、微笑んでくれた。


「何か、いてもたってもいられなくてさ…大丈夫だった?」


「はい…何も無かったです…」


何時に戻るか分からないのに、待っててくれたんだ。


「そっか…良かった…」


小田切さんの安堵した表情が、胸を突く。


「帰ろう…ご馳走作らなきゃね」


「本当にご馳走なんですね!冗談だったのに」


「本気で作るよ~!」


「ははっ!楽しみだね~私、小田切さんの料理大好き!いっぱい食べちゃうよ!」


「そっ?それは、張り切って作らなきゃだな」


小田切さんは、振り向いて笑顔で私を見詰め返してくれた。


そして私たちは、どちらからともなく手を繋ぎ歩き出した。

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