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理想と偽装の向こう側
第14章 時限爆弾
ソファーに横並びで、座りグラスに琥珀いろのワインが注がれる。


差し出されたグラスを受け止り、嘉之はグラスを目線まで上げて


「乾杯…」

「うん…おめでとう…」


チンッ…
硬質な高い音が響く。


嘉之は、一口飲んでグラスをテーブルに置いた。


「何から話せばいいの?」


組んだ足に肘を付いて、頬杖しながら、顔を傾ける。


改めて言われると、中々言葉が出ないな…あっ!


「マンション…」


「は?」


「こないだ…何であのマンションの場所…知ってたの…?」


「あぁ~、香織の後付けたから」


「えっ?」


どうゆうこと?


「尾行しただけ」


「…っ!!」


そんなことを簡単に言ってのけるのかっ!
目眩しそうだ…。


「…なんで…」


「あ~?」


「なんで…そこまで、するの?」


「へっ?分かんないの?」


ゴクリッ…

緊張しながら、ワインを流し込む。


「今の俺があんのは、香織が居たからだよ」


………分かりにくいっ!!
なんで、変化球ばかり投げてくるんだろう!


「まぁ飲みなよ!」


「あっ、や…ちょっと!!」


それからどんどんとワインを注がれていき、あっという間に一本空ける羽目になった。

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