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理想と偽装の向こう側
第5章 トラウマ
匂いと言ったけど、焼き肉の香りは食欲誘うよね…
お腹が空いてるせいか、すっかり食欲モードだな。


思わずクンクンと、空気を嗅いでしまう…。


そういえば小田切さんタバコ吸わないよな。


「小田切さんタバコ吸わないんですか?」 


「あ~今はね。若気の至り吸ってた時期もあったけど。また急にどうかした?」


若気の至りって…。


「単純にタバコ臭くないな~って、私タバコ苦手なんで助かりますが…」


「吸わない人には、煙も辛いよね。友達がタバコ嫌いで撲滅したい言ってたなぁ~」


「撲滅ですか!」


和みムードで会話が弾む。本当に臭くない車って乗りやすいな…ん?
でも、何か微かな…普段あまり嗅がないような香りが鼻孔をくすぐる。


この香り…。


「お香…?」


そうだ、何のお香かは分からないけど、嗅いだことのある香りだ。


「小田切さん、何かお香とか焚いたところ行きました…?」


「ん~お香?焚いて場所はあったかも、何か気になる?」


「あ…いえ、そんな気にすることじゃないですよね。お腹が空き過ぎで過敏になったのかも!」


「そんなに空いてるなら、先食べよっか?」


「いや、そこまで食い意地は張ってませんよ~。」


笑って流してしまった。


そうだよな…そんな気にすることじゃないのに、何だろうか?


最近は、お香を売ってるアジア系のお店とかもいっぱいあるし、道端でも売ってるし…。


でも、その香りとも違う気がする……。

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