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理想と偽装の向こう側
第14章 時限爆弾
多数の色を重ねて合わせた、緑の空…。


嘉之の心、そのものに感じた。


『複雑そうで、寂しそうで、面白くて、結構クセが強いけど、奥底は優しい…感じかな…』


あぁ…そうだ…
嘉之の色んな姿が見えたんだ…。


15色くらい使ってて…
でも一ヶ所闇のように深い色があったから、嘉之は優しいだけじゃないのも感じてた…。


深い深い闇の色…
嘉之の闇の部分…。


「香織…その時言ったよな…『ずっと見てたい』って…」


「あっ…うん…」


その時、嘉之は屈託なく笑っていた…。


正に頭の中に、緑の空が広がって雲がかかり…
まるで催眠術にでもかかってるようだ…。


淡々と話す嘉之の声が、私を6年前に引きこんでいく。


「俺だけ見てれば、いいんだよ…」


「…でも…」


嘉之の手が、私の頬に触れる。


「俺だけ居れば…いいだろ?」


「あっ…」


嘉之の顔が近づく…。


「香織…俺の側に居るだけで…いいんだよ…」


「……嘉之…」


嘉之の唇が、重なろうとした…。

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