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理想と偽装の向こう側
第14章 時限爆弾
小田切さんはいつもの考える時の仕草で、握りこぶしを口元に、片手を浴衣の袖にいれながら…


「俺…生は初めて見たわ~!ドラマみたい!」


えっ!初めて?


「前、誰かと来たりしなかったの?」


「和室は、無かったかな?」


「和室以外は…あるんだね…」


「ははっ!若かりし頃はね~!伊達に年は取ってないよ。」


そりゃ、そうだよね…。


こんだけ色んなこと、さり気なく出来ちゃうのも経験値があるからだよね~。


私が黙ってると


「香織ん、離そうか?」


布団を指差した。


あ…そうか、気にしてくれてるんだ…
私は寧ろ、くっついていたいんですけど…。


気持ちに正直に、言ってみた。


「…いい…このままで…いいかな…」


「そっか…寝相悪くて、転がってたらごめんね」


そんな冗談で、同意してくれた。
超~嬉しい。


モソモソと布団に入り右半身が、隣の小田切さんを意識する。


今度は、緊張で寝れない!


「…香織ん…」


「はいっ!」 


つい、すっとんきょうな声になる。


「…手…繋ごっか…」

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