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理想と偽装の向こう側
第16章 懐古
「ありがとうございます!」


目の前に立った彼女は、凄い小柄で華奢だった。


まだ仕事中だろうに子どもたちと真剣に遊んでたのだろうか、汗だくで顔は上気し頬は真っ赤で、黒目がちの大きいな瞳をキラキラさせている。


俺はボールを渡しながら


「産婦人科に行きたいんですが、病院の面会受付ってどの辺りですか?」


「面会ですね!入り口はですね~」


生き生きと説明を始める満面の笑顔に、釘付けになる。 

その時…

「小田切!発見っ!」
「あっ滝島!」


滝島が駆け寄ってくると


「あ~滝島さんの、お客様だったんですね!」


「おっ!ヒナちゃん、今日もみんなで遊んでたの?」


ヒナちゃん?


滝島は、水越さんと言う彼女に親しげに話しかける。


「はい!滝島さん聞きましたよ!元気な女の子!おめでとうごさいます!」


「ありがとう~!これも病院のみんなのお蔭だよ!特にヒナちゃん!」


「もう~科が違いますよ!」


ペシッと、滝島にツッコミを入れている。

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