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理想と偽装の向こう側
第16章 懐古
滝島は、不服そうに口をへの字にして


「へぇへぇ~志信様のお好みは高うございますからね!職場の女子も指をくわえっぱなしですよぉ~」


「はぁ?何の話しだよ。そんな素振り誰も居ないだろ…」


滝島は、もの凄く苦虫を噛み潰した様な顔をした。


「いややわぁ~!これやから天然ちゃんは!」


「はっ!意味分かんないんだけど?」


「案内するよ!俺の姫の元に!」


こいつ!
いきなり話しすり替えたな!


滝島の後を着いて行こうとしながら、何気に振り返り水越光花に目がいく。 


子供たちと引き続き、無邪気に遊んでいた。


あ~あ…
ナース服、汚れちゃってるよ。


自然と口元が緩み、胸の奥が温かくなった。


『一目惚れ』


って本当に、あるのかな?


その時、俺はまだ自覚出来てなかったが、確実に…

『水越光花』への恋が始まっていたんだ…。

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